陸前高田視察
こんにちは。修士1年の神谷、近藤、土川です。
私たちは9月29日に岩手県の陸前高田市に様々な建築を視察しに行きました。
初めに、旧吉田家住宅主屋の再建現場を見学しました。旧吉田家住宅は、震災前は岩手県指定有形文化財に指定されていましたが、津波によって全壊してしまいました。その後、文化財指定継続を目指し、流出した部材の6割を使った主屋の再建が計画されました。
この計画は6メートル嵩上げしたことにより基礎もそれだけ上げなくてはいけなかったり、既存部材を6割使うために既存部材と新しい部材を複雑に継がなければいけないなど、骨の折れる作業だったようです。その現場を間近に見学することができました。
次に高池葉子建築設計事務所が設計したピーカンナッツ産業振興施設を高池先生の案内のもと見学しました。
このピーカンナッツ産業振興施設は被災地の災害危険区域に指定された場所にピーカンナッツの木を植え、ピーカンナッツの商業生産の基盤作りのプロジェクトで建てられた施設となっています。特徴的な扇形の屋根は海や町、駅など様々な方向を向き、ガラス張りによって開放的な空間となっていました。内部から外を見ると実際にピーカンナッツの木々や、海と堤防など、様々な風景が切り取られ、風景の変化が楽しみな空間だと思いました。
また、隣にある内藤廣建築設計事務所が設計した博物館や、隈研吾建築都市設計事務所が設計したアムウェイハウスなども見学しました。博物館はまだ中には入れず外観のみでしたが、軒が大きく出て気持ちの良い軒下空間となっていて、展望デッキに続く外階段が印象的でした。
アムウェイハウスは材の継手が多く見られ、ダイナミックな造形を気仙大工の技術で表現している点が木造建築の力強さを感じました。
平田晃久建築設計事務所が設計したみんなの家は、解体されたものを再建したもので、物見台とバルコニーからまちの復興を眺めることができました。現在は活用していませんが、将来的には子どもの学び場としての活用を考えていることを伺いました。みんなの家は総菜屋と併設しており、働く主婦に光を当てるように、ガラスのファサードを使用して、活動を外から見えるようなデザインとなっています。建物の魅力だけでなく、内側の活動を見せるコンセプト、それを以下るためのデザインが魅力的でした。
最後に内藤廣建築設計事務所が設計した高松松原津波復興祈念公園を見学しました。力強い軸線を持つ建築ですが、エントランスの水盤から海岸へつながるとても長い軸線を歩いていると、以前そこにどんな街や営みがあったのか考えさせられ、歩いているうちに追悼の念が大きくなるのを感じました。海岸には新しい杉の木が植えられており、未来に向けた取り組みが行われていることを実感しました。
想定をはるかに超えた巨大津波はまちを飲み込み甚大な被害をもたらしました。陸前高田では大規模な造成工事が行われ、新たなまちが嵩上げされた土地に造られています。現在は震災前と大きく異なるまちの姿となっていますが、今回見学した施設やお話を聞いた方々には今後の展望があり、まちの復興を前向きに捉えている印象を受けました。今後のさらなる発展に注目したいです。
(神谷、近藤、土川)